最近、仮想現実やAI、エネルギーなどについて興味ありいろいろ調べているのですが、友人とその話になった時にススメてくれた映画がこちら「Everything Everywhere All at Once(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)」。全く予備知識が無く見たのですが、すっごく良かったです!
見た感想を一言で言えば、マトリックス+コメディに中華風カンフーアクションを加えた家族愛がテーマの映画です。何を言っているか分からないかと思いますが、とにかく色々な要素が盛りだくさんに詰まっていて、笑えるのに泣きどころありと、満足度高い作品です。
他の映画のパロディがあったり、メタバースがテーマということで、若干分かり難いところもあるので、あらすじや見どころ、さらにネタバレも交えて感想をまとめました。
Everything Everywhere All at Onceが見れるサービスは?
2023年1月の時点ではまだ日本では公開されていません。日本では2023年3月3日に公開予定のようですので、日本公開&日本語字幕を待ちましょう。
私はカナダに居るのでカナダのAmazon primeで視聴しました。カナダならYouTube VideoやApple TVなどで視聴できるようです。USAでもAmazon Primeなどで視聴できるようです。
ちなみに「Everything Everywhere All at Once」は現時点でカナダでもUSAでもUKでもNetflixでは取り扱っていません。
あらすじと見どころ
破産寸前のコインランドリーを経営する中国系アメリカ人のエブリン。国税庁の監査官に厳しい追及を受ける彼女は、突然、気の弱い夫・ウェイモンドといくつもの並行世界(マルチバース)にトリップ! 「全宇宙に悪がはびこっている。止められるのは君しかいない」と告げられ、マルチバースに蔓延る悪と戦うべく立ち上がるがー。
中国系移民で普通の中年の主婦が、実はマルチユニバースを行き来できる能力を持った救世主だった、、?
宇宙は誰かの意思の選択の数だけ無数に分かれてあり、それが次元を超えて同時にいくつも存在しているという世界観で、覚醒後の主人公はそのどの自分にもアクセスができて、そこで培われた能力を自分のものにできるようになります。
でもこれにアクセスするためには、毎回違うショックを引き起こさなきゃいけないというから大変。リップクリーム食べたり、机の裏のガム噛んだり。。ここら辺がバカバカしくて面白くて見どころです。
未来は選択の数だけ無数にあるというと、何だかバタフライエフェクトのような感じですが、全く違います。むしろマトリックスのような感じです。エブリンはネオです。
そしてコメディがこれまた面白い!他の映画のパロディから、オースティンパワーズ系のくだらないバカバカしい笑いもありです。
主人公役のミシェル・ヨーさんは、アジアでは最強のカンフースターだそうで、時々に繰り広げられるカンフーアクションも見どころです。
ただ、とにかくストーリー展開が早くて込み合ってるし、過去や多次元の話に飛ぶことが多いので、集中して見ないと置いていかれます。
2時間20分と普通の映画よりは長いですが、長さを感じないほとんど笑いあり涙ありとたっぷり詰まっていて、見終わった後満足感が高い映画です。
ネタバレ含む感想
※ネタバレ嫌な人はここから読まないでください。
最初は中国語がメインで字幕が主で、何の映画かパッとしなかったのですが、エレベーターに乗った瞬間いきなり雰囲気が変わりました。そして何だ何だと思っているうちに一気に引き込まれました。
独特の世界観もぶっ飛んでて、ブラックホールがエブリシング・ベーグル(全部のトッピングが載っているベーグル)だったり、別次元では手がホットドッグだったり、普通の常識を超えてます。
後半はかなりカオスで、別世界の特技をダウンロードするのにお尻に物体をぶっ刺すためノーパン男が飛んできたり、愛犬を蹴飛ばしてヌンチャクにするとかはオースティンパワーを彷彿として笑えました。
そしてもちろんちゃんと後輩にはマトリックスのパロディもあります。あの覚醒後に銃の玉を弾くところの有名なシーンです。
その他にも、ディズニー映画「レミーのおいしいレストラン」のパロディで、別次元のシェフのエブリンのライバルはアライグマが頭に乗って操っている男だったり、別次元の女優のエブリンは、現実世界のエブリン(ミシェル・ヨーさん)だったり、そこかしこにパロディが溢れています。
覚醒後のエブリンは第三の目(おもちゃのフェイクアイ)を額につけて、これで相手の弱点がわかり、バタバタと相手を倒していきます。これがもうギャグなんですけど(笑)
マルチバースというテーマはシリアスにならいくらでもできるし、そうなりがちだけど、これをコメディにしたのが良いですね。
アメリカで暮らす中国系移民の葛藤が描かれていたり、アジア人で中年女性で娘がレズビアンという超マイノリティが主人公というのも良かった。
ただこの映画はコメディの合間にシリアスで泣ける要素もいっぱいあります。
アメリカでは韓国や中国系のアジア系は「Kim’s Convenience (キムさんのコンビニ)」からも見て取れるように、コンビニやコインランドリー経営とか多いイメージですよね。
それで、最後の方で別次元のウェイモンドが、「別の人生では、ただあなたとコインランドリーや税金の作業をしたい。」と言う演出があるのですが、堪らないですね。だってそれは現世界の自分のことなのだから。
これは、つまらない人生の何気ない日常が、別の角度から見たら本当はそれが何よりの幸せだというメタファーなのかと感じました。
ジャンル的にはコメディだと思うけど、基本軸は家族愛であって、あんなにカオスなのに、最後は親子の愛でキレイにまとまっています。
最後の方でジョイ(娘)が、「You could be anything anywhere, Why not go somewhere where your daughter is more than just me?(どこにでも何にでもなれるのに、なんでこの私でなく他の娘の居るところに行かないの?)」と言われてエブリンが言う言葉です。
確かに最後のエブリンなら自分が望んだものに何にでもなれるけど、それを全部捨ててもあなた(娘)とただ一緒にいたいんだというのが、最後に超越できるのは愛なんだという強いメッセージが伝わりました。
まとめ
コメディですごく面白いのに、この映画を思い出すと泣けてくるのは、それだけ泣ける要素もたっぷり詰まっているからです。
何度も見たいと思わせるし、2回目はまた違ったことに気づくことができる映画だと思います。もっとメタバースものの映画を見たくなりますね。