WordPressはテーマ(テンプレート)がいくつもあり、手軽にテーマを変更することができるのが一つの魅力でもあります。しかし、テーマ変更自体はボタン一つでできたとしても、そのままではサイトの表示が大変なことになってしまいます。
そこでここでは、Wordpressのテーマを作ったり、テーマ変更やウェブサイトのリニューアルなどを経験してきている者として、テーマ選びの際に気をつけておきたいポイントをご紹介します。
WordPressにはどんなテーマがあるの?
まず最初にWordpressにはどんなテーマがあるか見てみましょう。大きく分けて2つの違いがあります。
- 有料 / 無料
- 日本製 / 外国製
有料テーマと無料テーマの違い
WordPressの有料テーマと無料テーマの違いは、もちろん文字通り有料か無料かではありますが、機能面での違いもあります。
有料テーマのメリット
有料テーマはデザインが美しいのは元より、独自の機能が使えたり、独自のカスタマイズ性が高いテーマであることが多いです。カスタマイズ性が高いテーマのものは、管理画面上でカスタマイズができるようになっているので、テーマ導入時の設定や微調整に時間を取られることがなく、サイト公開までの時間を大幅に短縮できます。
有料テーマのデメリット
しかし、有料テーマのメリットが、時にはそのままデメリットにもなることもあります。テーマ内で利用していたテーマ独自のショートコードやカスタム投稿などは、テーマを変更する際にはそのまま引き継げませんので、テーマ変更をする際にこの部分の調整を行う必要が出てきます。
多少の調整で修正できるものなら良いのですが、テーマ独自の機能に頼り切っているような場合、調整に手間がかかり過ぎてしまい、簡単にテーマ変更をするメリットを享受することができません。(不可能ではないです)
無料テーマのメリット
無料テーマの一番のメリットは無料であるということですが、無料であるがためにシンプルな構造のものが多いということです。多くの有料テーマではそのテンプレートの独自デザインや機能の設定ができるようになっていますが、無料テーマの場合はそのような機能が付いているテーマは少ないです。(無いわけではありません)
そのためテーマでコントロールするのはデザインのみで、サイトに必要な機能はプラグインで管理するなど、デザインと機能を分けて管理することができます。
無料テーマのデメリット
無料テーマは有料テーマと比べるとシンプルなものが多く、その分必要なところは自分で追加やカスタマイズする必要があります。自分でできる人なら良いですが、知識が少ない人だと大変です。
日本製と外国製テーマの違い
日本製のテーマのメリット
日本製のテーマのメリットは主に3つほどあります。
- 日本語の表示がきれい
- 日本で人気のデザインが標準装備
- サポートが日本語
Webブラウザの文字の表示では、英語は1バイト、日本語は2バイトで扱われます。バイト数は簡単に言うと文字の幅のことで、英語やフランス語、ドイツ語のような半角は1バイト、日本語や中国語、韓国語のような全角は2バイトで表示されます。
従って英語テンプレートだと、文字が1バイト表示で想定されているため、日本語表示だとフォントサイズが大きすぎたり小さすぎたり、詰まりすぎていたりして読みづらかったりします。これが「英語だとかっこいいのに日本語にした途端にパッとしないデザイン」になる理由です。外国製のテンプレートは適応時にフォントサイズの調整をする必要があります。
2のデザインについてですが、日本語のサイトと英語のサイトでは好まれるデザインが違うため、テーマで利用できるデザインが異なることがあります。例えば日本語のサイトでよく使われる「会話のような吹き出し」表示は英語圏のサイトではほとんど見かけません。
そのため外国製のテーマでは吹き出し表示が利用できるテーマはほとんどありませんが、日本製のテーマには機能として搭載されているテーマがあります。
最後にサポートですが、やはりわからないところや困った時に日本語で対応してもらえるのは嬉しいです。ネットで日本語で調べても多くの情報が手に入るのもメリットです。
日本製テーマのデメリット
デメリットは外国製のテーマと比べると種類が少ないことです。少ないデザインの中で多くの人が同じテーマを利用すると、他のサイトとデザインがかぶる可能性が高くなります。
有料テンプレートだとサイトの色やカラム数、さらにはサイドバーの位置などを変えることはできますが、それでも同じテンプレートを利用していると言うことは、全体的な雰囲気は似たデザインになってしまいます。しかしデザインにそこまでこだわりが無ければ問題にはなりません。
外国製テーマのメリット
外国製のテーマのメリットは、何と言っても種類が豊富なところです。日本製のテーマの何十倍ものデザインがあります。中には無料とは思えないほどのクオリティーのものや、ウェブ制作業者がいらなくなるほどの機能を持った有料テンプレートなどもあります。豊富なデザインの中から選べるので、気に入ったデザインが見つかる確率は高くなります。
外国製テーマのデメリット
デメリットとしては、やはりサポートが英語だと言うこと。何か調べる時や困った時に英語で対応しなければならないため、英語が苦手な人は大変かもしれません。また日本語を表示するにはフォントの調整も必要になってきます。
なぜ簡単にテーマ変更ができないのか?
テーマを変更する時に必要なこと
テーマのスクリーンショットやデモサイトを見るととてもキレイなデザインだったので、ライブプレビューをしてみると何とも残念な表示になった経験はありませんか?
そもそもテーマは適応しただけではデモサイトのようにキレイなサイトは出来上がりません。特に有料テーマで多いですが、テーマによってはデモサイトのような表示にするにはウィジェットやカテゴリーの表示を選択するなどの設定が必要になってきます。(※有料テーマではデモをインポートできるテーマもあります。)
WordPressはオープンソースが故に無料でこれだけの機能やテーマなどを利用することができますが、世界中の人がそれぞれにコードを書いてテーマを作っているので、それぞれの仕様が異なります。以前使っていたテーマから新しいテーマに変える際には、新しいテーマの仕様に合わせてデザインを調整しなければなりません。
さらに、テーマ独自の機能を利用している場合、特にテーマ独自のショートコードやカスタム投稿などは、テーマを変更する際にはそのまま引き継げませんので、テーマ変更をする際にこの部分の調整を行う必要が出てきます。
こんな人はできるだけシンプルなテーマを選ぼう
- 飽きっぽい人
- 気分によってテーマを変えたい人
- テーマ変更をする可能性がある人
- サイトのリニューアルをする可能性がある人
こんなテーマには気をつけよう!
無料/有料問わず、独自のカスタマイズ性が強い(テーマに依存している)
上でも説明した通り、特に有料テーマは機能が充実している分テーマに依存しているものが多いです。テーマに依存しているというのは、 テーマを変更してしまえば、その機能を使うことができません。
今後、特にテーマを変更するつもりが無いのならそういうテーマを選んでも良いでしょうが、テーマを変えたいor変える可能性がある、もしくはサイトのリニューアルをする可能性があるというような人は、その様なテーマを避けるか、テーマを利用しても独自機能を利用しない方が無難です。
サポート&更新が受けられない
特に有料テーマの場合、無料でサポートが受けられる期間が決められている場合があります。そのようなテーマはサポート期間が終了しても使える場合が多いですが、サポート期間が終了してしまうと、テーマ内で何かトラブルがあったりカスタマイズする場合のサポートや、新しいバージョンへの更新も受けられなくなる場合があります。
サポートを受けたい場合は追加で権利を購入するか有料サポートがあるはずですが、一度購入しているテーマに再度お金を払ってサポートを受けるということは、なかなか受け入れられないと思います。
有料テーマでもサポートがないものもあるので、特に初心者が有料テーマを購入する際はサポートが受けられるテーマがオススメです。
こんなテーマを選ぼう!
テーマに依存しすぎないテーマ
何でもかんでも管理画面でできるのは、特に初心者にとっては簡単でありがたいですが、先程も説明した通りこれは諸刃の剣です。テーマに依存するということは、テーマを切り替える際に今まで使えていた機能が使えなくなるということです。
テーマ独自の機能がある場合は、テーマを変更する際に以前のテーマの独自機能を新しいテーマに対応させる為の調整が必要になります。最悪、大量のページを一つ一つ修正していかなければならなくなります。記事数が少ない時は良いですが、これが何百、何千もの記事がある場合、現実的ではなくなってしまいます。
テーマはあくまでもデザイン、機能や設定はプラグインで管理するのがオススメです。
モバイルフレンドリー(モバイルファースト)
Googleは、スマホからの検索が増えたため、レスポンシブデザイン、モバイルファーストを重要視するようになりました。
最近のテーマはほとんどがレスポンシブデザインになっているので、モバイルフレンドリーですのであまり気にしなくても良いでしょう。
テーマ内になくても大丈夫な機能
いいなと思ったテーマに欲しい機能が付いていなかった・・・なんてこと経験はありますか?デザインは好きだけど、あとこの機能さえ付いていたらなーと思うこともありますよね。でもWordpressならテーマ内についていなくても、プラグインで導入できる機能があります。
ソーシャルシェアボタン
FacebookやTwitterなどのシェアボタンが利用できるテーマは多いですが、プラグインで入れることもできるので無くても大丈夫です。
シェアボタンを管理できるおすすめプラグイン
WP Social Bookmarking Light
数あるシェアボタンのプラグインの中でも公式のボタンを表示することができます。Jetpack Sharing
WordPressを利用する上で便利な約30種もの機能をパックにしたもので、このプラグインを入れるだけでシェアボタンや関連記事の表示を追加することができます。
パンくずリスト
パンくずリストはユーザビリティやSEO対策でも重要な要素となります。パンくずリストが表示されるテーマは増えてきていますが、無くてもプラグインで追加することができます。
パンくずリストを管理できるおすすめプラグイン
Breadcrumb NavXT
このサイトでも使っていますが、このプラグインを入れるだけでパンくずリストを表示することができます。
関連記事
記事下に配置する関連記事はサイト内の回遊率を上げるためにも重要な要素ですが、こちらもプラグインで導入することができます。
関連記事を管理できるおすすめプラグイン
Yet Another Related Posts Plugin (YARPP)
フィルター設定や関連スコア設定などで細かく設定できるカスタマイズ性の高い関連記事表示のプラグインです。Jetpack Related Posts
Jetpackをインストールするだけで細かい設定なしで自動で関連記事を表示することができます。
テーマではなくプラグインでコントロールした方が良いもの
上にあげたように、テーマ内に無くてもプラグインで追加できる機能がありますが、むしろプラグインで管理した方がいい機能もあります。
これらの機能がついているテーマでも、あえてその機能はプラグインで管理するとテーマ移行時に楽です。テーマ独自の機能を使う利便性と比べて利用するかどうか決めると良いでしょう。
ショートコード
テーマ内でショートコードが使えるととても便利ですが、そのテーマ独自のショートコードを利用していると、テーマ変更時に全て使えなくなります。
ショートコードは新しいテーマ変更の際に、以前のコードをコピペしてそのまま使える場合もありますが、著作権の関係で移行できないものもあるので、できればプラグインで管理したい機能になります。
ショートコードを管理できるおすすめプラグイン
Custom post-content shortcodes
フィルター設定や関連スコア設定などで細かく設定できるカスタマイズ性の高い関連記事表示のプラグインです。Jetpack Related Posts
Jetpackをインストールするだけで細かい設定なしで自動で関連記事を表示することができます。
SEO
SEOに強いテーマを探している人も多いかと思いますが、基本的な構造がしっかりしているテーマを使えば、テーマの違いでそこまでSEOに違いが出るものでもありません。SEOに関してはテーマよりもコンテンツ内容の方がより重要になってきます。
しかし、メタタグやメタディスクリプションなどのSEOに関する設定をテーマ内で設定している場合、それらに対応していないテーマに変更する場合、テーマ変更時に設定が全部無くなってしまいます。
テーマ移行時に再度それらの設定を表示できるように調整することが必要になり大変ですので、できればSEOのコントロールは最初からプラグインを使って行った方が良いでしょう。プラグインを使うことにより、より細かな設定も可能になります。
SEOを管理できるおすすめプラグイン
All in One SEO Pack
SEOに関するあらゆる設定が可能なSEOに特化したWordPressプラグインです。Yoast SEO
こちらもSEOに人気のプラグインです。どちらもおすすめですがインターフェースで選ぶといいでしょう。
カテゴリーページ
カテゴリーページは投稿ページの一覧が一般的なデザインですが、カテゴリーページを強化することにより、SEOが向上されサイトの評価も上げることができます。
ただし、カテゴリーページ設定が強化されているテーマは全体的には少ないので、これをメインにテーマを選択するのは得策ではありません。
こちらもプラグイン等である程度設定することができるので、テーマに依存しなくても良いでしょう。
カテゴリー投稿を管理できるおすすめプラグイン
Categories Images
カテゴリーごとに異なるアイキャッチ画像を表示することができるプラグイン。No Category Base (WPML)
カテゴリーのページのURLから”category”の階層を外すことができる。
カスタムフィールド
カスタムフィールドとは、「タイトル」や「本文」などではなく、独自に定義した編集フィールドを追加できる機能のことです。カスタムフィールドをテーマ内で利用していると、テーマ変更時にこの部分の調整が必要になってしまいますので、カスタムフィールドはプラグインで管理したい機能になります。
カスタムフィールドを管理できるおすすめプラグイン
Advanced Custom Fields
カスタムフィールドを便利で使いやすくしてくれる。設定できる項目が多く、高性能で使いやすい。
カスタム投稿
カスタム投稿とはデフォルトである「投稿」や「ページ」などの投稿ではなく、独自に定義した投稿タイプを追加できる機能のことです。このカスタム投稿をテーマ内で設定していると、テーマ変更時に今まで使っていたカスタム投稿機能を新たに追加しなくてはいけなくなります。
独自の投稿ができるようにカスタム投稿を設定しているテーマがありますが、特別にサイトに合わせてカスタマイズをしているテーマでない限り、カスタム投稿はプラグインで管理するのがオススメです。
カスタム投稿を管理できるおすすめプラグイン
Custom Post Type UI
SEOに関するあらゆる設定が可能なSEOに特化したWordPressプラグインです。
機能をプラグインで管理するメリット・デメリット
WordPressではテーマはデザイン、機能はプラグインで管理することをオススメします。
プラグインで管理するメリット
- テーマを変更しても設定が変わらない
- テーマに付随してくる機能よりも細かい設定ができることがある
- ネットに情報が多い
プラグインで管理するメリットは、テーマを変更しても設定が変わらないことです。ショートコードやカスタムフィールドなどはテーマを変更するとそのままでは使えなくなってしまいます。
他にも、All in One SEO Packのようにそれ専用のプラグインを利用することで、より細かな設定ができることがあります。直感的に操作ができることもメリットです。
また有名なプラグインはネット上で検索しても情報が多いので、わからないことを検索して調べることもできます。
プラグインで管理するデメリット
- プラグインの入れすぎで重くなる
- たまにプラグイン同士が競合してうまく動かないことがある
- プラグインの管理&更新
プラグインを入れすぎると読み込むファイルやコードが増えるためサイトが重くなります。プラグインは入れすぎないように気をつけながら必要なものだけ利用するようにしていきましょう。
他にもプラグイン同士の相性があるので、たまに該当のプラグインがうまく動かないことがあります。そんな時は同じような機能の違うプラグインに変更するなどの対処が必要になります。
またプラグインの数が多くなると管理も大変です。特にプラグインの更新は、数が多いと頻度も頻繁になってきますので、サイトの更新頻度が低い場合は特に気をつけておかなければなりません。
まとめ:テーマ選びは慎重に。
いずれテーマ変更をするかもしれないが今の段階では分からないというような人もいるでしょう。いずれにせよ、上記の内容は全て取り入れる必要は無いと思います。テーマ独自機能を使う利便性もあるので、比べてみて利用や管理のしやすさで決めると良いでしょう。
テーマはそうそう頻繁に変更しないと思いますが、いざ変更するとなった時に、手間を考えたらもう変更できないとなってしまわない為にも、出来るだけ変更時の負担を減らせるようにテーマ選びの際から考えて、慎重にテーマを選ぶようにしましょう。